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私たちは、司法修習生への給与の継続支給を求めます!

 

 

司法試験に合格しても、すぐに裁判官や検察官、弁護士になれるわけではありません。最高裁判所に司法修習生として採用され、司法研修所や現場での実務など1年間の研修に専念し、修了後の試験に合格しなければ法曹資格を得ることはできません。研修は平日にフルタイムで行われ、その期間は副業やアルバイトは禁止されています。このため、これまでは司法修習生に対して国から国家公務員の大学卒初任給相当額の生活費が給付されてきました。
 しかし2004年に裁判所法が改定され、2010年11月からこの給費制(給与)が廃止され、生活費等が必要な修習生には最高裁判所が一定金額を貸し付ける「貸与制」に変更されることになりました。
 
2010年11月1日に時間切れでいったん貸与制が施行されましたが、多くの国民の声が後押しとなり、11月26日に貸与制導入を1年延期する裁判所法改正が実現しました。
 しかし、このままでは2011年11月より貸与制に移行してしまいます。
市民連絡会は、給費制の存続を求めて引き続き活動を進めています。

法律家になるまでの道

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たちは、この制度変更には以下のように様々な問題があると考えています。単に法律家だけの問題ではなく、私たち市民や労働者の問題でもあるのです。ぜひ、皆さんも、私たちといっしょに考え、行動に参加してください。

 会社に就職すれば、新人研修中や試用期間であっても給与が支給されます。たとえ戦力にならなくても、その人の人生(時間)を拘束している以上、当然のことです。司法修習生であっても同じはずです。修習をうけなければ法曹資格は取得できません。研修期間中とは言え、1年間フルタイムで拘束しアルバイトも禁止しておきながら「無給」とはひどすぎます。

 現在でも法曹志望者は、法科大学院(ロースクール)の高額な学費と生活費を工面するため、多額の借金を抱えて苦しんでいます。日弁連が2009年11月に実施したアンケート調査によると、司法修習生の半数以上が借金を抱え、その平均額は318万円、最高額は1,200万円という衝撃的な実態が明らかになっています。貸与制になれば、さらに約300万円の借金が上積みされることになります。
 これでは、志をもった優秀な若者たちが、家庭の経済的な事情で法律家への夢を断念せざるを得ないことになりかねません。特に親元から離れて生活せざるを得ないという経済的なハンディを抱えた地方出身者にとっては深刻です。
 司法制度改革の理念は、社会の幅広い層から多様な人材を養成することにあったはずです。
 法曹への道は、貧富の差を問わず、広く門戸が開かれていなければなりません。

第63期司法修習生の法科大学院在学時の奨学金利用の実態について

 お金がないと法律家になれなくなり、庶民感覚からほど遠い人たちが司法の世界の多数を占めるようになったとき、私たちの暮らしや権利は守られるのでしょうか。

 法律家の仕事は裁判だけではありません。無料法律相談や社会的弱者のための人権救済活動、さらには法制度の改善・立法に向けた提言活動まで、公共的・公益的な活動を担っています。

 しかし、これから多額の借金を抱えて実務生活をスタートさせざるを得ない若手の法律家は、たとえ志はあっても、労働問題や消費者問題、人権の擁護・弱者の救済など“金にならない”仕事に向き合う余裕がなくなってしまうのではないでしょうか。私たち社会運動の担い手にとっても、自らの活動を支える知的資産を将来にわたって継承できるのかという観点から、この問題を考えていく必要があります。

 人材育成には時間がかかります。深刻な医師不足の問題を見ても、誤りに気づいて政策を改めようとしても、回復するのには相当の期間を要します。

 法律家の養成のあり方についても、いま一度、立ち止まって考えてみませんか?

 給費制度は、何も司法修習生だけにあるのではありません。

 医師の場合も、新卒医に2年間の臨床研修が義務づけられ、研修医に給与(研修機関に対して国庫補助金)が支払われています。また、防衛大学校、防衛医科大学校、気象大学、海上保安大学校、航空保安大学校の学生も、学費は無料で給与も支給されています。

 有能な若手を社会が給費で育てる。それはコストではありません。社会全体の利益であり、社会的投資です。貧しくとも努力次第で専門的職業に就ける。また、そのような才能を育てることによって、社会が活性化し、若者が将来に希望を持て、閉塞感が払拭できるのです。

 司法修習生への給費制存続は、有為な人材を社会で育てるのか、それとも「個人のキャリアアップは自己責任」で切り捨てるのかという、社会の方向性をめぐる運動の一環でもあります。

 日本の高等教育に対する公財政支出の対GNP比は先進国の中で最下位です。法律家などの専門的職業の養成に限らず、一般学生に対する給費制の奨学金の導入にもつながっていく課題なのです。

 法律家も、この取り組みを機に市民の声を受け止め、社会における自らの役割をもう一度見つめ直してもらいたいと思います。整理屋と結託して多重債務者を食い物にするような弁護士は論外ですし、市民から「敷居が高い」とか「金儲けばかりしているのでは」と思われていては、「給費制の存続」を叫んでも決して共感は得られないでしょう。

 法律家の卵を公費で育てるという制度は、市民と法律家の信頼関係抜きには成り立ちません。

私たちは、国に給費制の存続を求めると同時に、法曹団体に対しても、貧困問題など弱い立場に立つ人の力となるような活動や、ひとりひとりの命が大切にされる社会の実現のための活動をさらに積極的に行うよう求めていきます。